強電場現象
物質に1 V/nm以上の強い光電場を作用させると、摂動論の枠組みを超えた、極めて非線形性の強い応答が発現します。これは強電場現象と呼ばれており、気体原子のトンネルイオン化、高次高調波発生などが報告されてきました。私たちは、可視域と比べて大きなPonderomotiveエネルギー(光電場中の電子のエネルギーで波長の2乗に比例)の得やすい中赤外域の光パルスに注目し、これを利用した強電場現象の発現と制御に取り組んでいます。
赤外プラズモニック増強場による光電界電子放出
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赤外超短パルスを金属ナノ構造に照射すると、時間的・空間的に局在した増強近接場を発生させることができます。本研究のねらいは、この増強近接場を用いた非線形現象の発現と制御です。一例として、金属ナノ構造からの光電界電子放出が挙げられます。この現象は、ナノ構造の先端に発生する増強電場によりナノロッド自身から電子が引き抜かれる現象です。光パルスの波形整形技術と組み合わせることにより、放出電子の運動量が制御できるでしょう。

  1. F. Kusa, K. E. Echternkamp, G. Herink, C. Ropers, and S. Ashihara, “Optical field emission from resonant gold nanorods driven by femtosecond mid-infrared pulses,” AIP Advances Vol. 5, 077138 (2015).
  2. 芦原聡, 草史野, “赤外プラズモニック増強場を用いた金属表面における電子放出の直接的操作,” OplusE Vol. 438, pp. 432-437 (2016).